
皆々様、ようこそお越しくださいました。卓上の語り部でございます。 今宵ご紹介しますのは、誰もが他人の真実を見通せるのに、己の真実だけは決して見ることが叶わぬという、奇妙で愉快な宴の物語。その名は**『コヨーテ (Coyote)』**。一枚のカードが、あなた様を疑心と喝采の渦中へと突き落とします。
ゲーム紹介:『コヨーテ』とは?
本作は、各々が自分だけ見ることのできない数字カードを一枚持ち、全員の数字の合計を当てることを目指す、推理とハッタリのゲームでございます。プレイヤーは順番に、卓上にある数字の合計「だと思われる」数を宣言していきますが、その宣言は前の人よりも大きな数でなければなりませぬ。果たして、真実はどこにあるのか。それとも、この場はハッタリだけで支配されているのか。その見極めが肝要となります。
項目詳細 | |
原題 | Coyote |
デザイナー | Spartaco Albertarelli |
版元 | New Games Order, すごろくや など |
プレイ人数 | 2人~10人 |
対象年齢 | 10歳以上 |
プレイ時間 | 約15分~30分 |
なぜ『コヨーテ』の宴は、かくも盛り上がるのか
このゲームが、世代を問わず多くの人々を惹きつけてやまないのには、いくつかの理由がございます。
魅力その1:「見えざる己の数字」が生む絶妙なもどかしさ
このゲームの最も独創的な点は、自分のカードだけが見えないというルールにございます。他人の数字はすべて見えているのに、自分がどれほどの数を持っているのか、皆目見当がつかない。皆の表情や宣言の強弱から、「私は、今、大きな数を持っているのか?それとも、小さな数なのか?」と自問自答する。このもどかしさこそが、本作の尽きぬ魅力の源泉なのです。
魅力その2:積み上がる宣言、膨らむ疑心
「前の人より大きな数を言う」という縛りが、卓上の緊張感を極限まで高めます。最初は小さな数から始まる宣言も、やがては現実離れした大きな数へと膨れ上がっていく。もはや誰もが、卓上の合計数を超えていると知りながら、己が番を生き延びるためだけに、さらに大きな嘘を重ねていくのです。この、破裂寸前の風船を押し付け合うようなスリルは、他では味わえませぬ。
魅力その3:「コヨーテ!」の一声がもたらすカタルシス
その嘘の連鎖を断ち切る魔法の言葉、それが「コヨーテ!」の叫びでございます。前の者の宣言を疑ったとき、この一声を発すれば、全てのカードが明らかにされ、真実が白日の下に晒される。場の全員が固唾を飲んで見守る中、嘘つきが打ち倒されるのか、それとも真実を見抜いた者が勝利するのか。この決着の瞬間がもたらす解放感と興奮は、まさにこのゲームの華と言えましょう。
まとめ:疑心と笑顔の夜会
『コヨーテ』は、簡単なルールで、大人数で、心の底から笑い合える、パーティーゲームの傑作でございます。必要なのは、ほんの少しの計算と、それを覆い隠す大胆なハッタリだけ。 もしあなたが、気の置けない仲間たちと、忘れられぬ一夜を過ごしたいと願うのであれば、このしたたかなる獣が支配する宴に、ぜひ足を踏み入れてみてください。
きっと、お互いの意外な素顔を垣間見ることができるはずですぞ。
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