おや、いらっしゃいましたか。 扉の音にも気づかないとは、私も少々、昔の記録に夢中になりすぎていたようです。 ちょうど今、この物語の『原点』となる場所の地図を広げていたところなんですよ。
長く険しい旅を続けていると、ふと、出発点の景色が恋しくなることはありませんかな? 今日は冒険の喧騒を少し離れて、静かな森の空気を吸いにいきましょう。
物語の始まりの地であり、彼らの故郷でもある「ウィスパーウッド」。 まだこの地を知らぬ旅人、あるいは記憶が薄れてしまった方のために、この場所のありのままの姿を記しておくとしましょう。
🌲 ウィスパーウッド大森林 (The Whisperwood)
アヴェリア大陸の北西部、地図の上で深く濃い緑に覆われたその場所に、大陸有数の広さを誇る原生林が広がっています。
特徴と景観
そこは、樹齢数百年、あるいは千年を超えるような巨大な樹木が連なる、深く静かな森です。 太陽の光は幾重にも重なる梢(こずえ)に遮られ、地表は常に薄暗く、苔やシダ植物が厚い絨毯のように広がっています。
耳を澄ませてみてください。 風が吹くと、無数の木の葉が擦れ合い、ザワザワ……と、まるで森全体が「ささやき(ウィスパー)」を交わしているような独特の音が響き渡るでしょう? この森の名は、その神秘的な音色から付けられたのですよ。
生態系と環境
豊かな水源と手つかずの自然により、ここには多種多様な動植物が息づいています。 森の恵みは豊かですが、光があれば影があるように、森の深奥部には古い獣や、人を寄せ付けない険しい領域も存在すると言われています。
人々は森の恵みに感謝しつつも、その深淵に対する「畏敬の念」を決して忘れることはありません。
🏡 ウィスパーウッド村 (Whisperwood Village)
そんな大森林の深く、外部から隔絶された場所に、ひっそりと佇む小さな村があります。 こここそが、物語の主人公・リオスや、ヒロインのリーナたちが生まれ育った故郷です。

立地と雰囲気
巨大な古木たちに抱かれるようにして、数十軒の家々が点在しています。 外界へと続く主要な街道からは遠く離れており、ここを訪れるのは稀な旅商人や、道に迷い込んだ旅人くらいのもの。そのため、村全体が非常に穏やかで、時間がゆっくりと流れているような、牧歌的な空気に満ちています。
家々は森の木材や石を利用して建てられており、その佇まいは風景に溶け込んでいます。 夜になれば、人工的な光はほとんどありません。あるのは、頭上に広がる満天の星空と、村を包み込む森の静寂だけです。
人口規模
およそ50~60世帯。人口にして250人から300人程度の、本当に小さな集落です。 村人のほとんどが顔見知りであり、互いに助け合う強い共同体意識を持っています。外部からの移住者は少なく、何代にもわたってこの村で暮らしている家系がほとんどですね。
生活模様
村の生活は、基本的に森との共生の上に成り立っており、自給自足が中心です。
- 林業・木工: 森の木々を計画的に伐採し、建材や家具、工芸品へと加工します。特にこの村の職人が作る木工品は質が高く、稀に来る商人を通じて外の世界へ売られることもあるようです。
- 狩猟・採集: 森に精通した狩人たちが獣を狩り、肉や毛皮を得ます。また、季節ごとの木の実、キノコ、山菜なども食卓を彩る重要な糧となります。
- 小規模な農業: 森を切り開いた小さな畑で、根菜類やハーブなどを育てて暮らしています。
村人たちは「森から必要な分だけをいただき、決して森を怒らせてはならない」という古くからの不文律を守りながら、慎ましくも平穏な日々を送っているのです。
語り部のまとめ
以上が、物語の出発点となるウィスパーウッドの基本的な記録となります。
この静かで平和な村から、リオスたちの運命は動き出しました。 この設定を心の片隅に置いて本編を読んでいただくと、彼らが抱く故郷への想いや、失われゆく日常の尊さが、より深く胸に響くかもしれません。
それでは、引き続き『アヴェリア物語』の世界をお楽しみください。 また、この書斎でお会いしましょう。

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